お茶会・法話

  • 織成月茶会 ~3月~

     

    西陣の手織りミュージアム織成舘の3月の月釜は私たち親子、

    こうみょうじ文化部で釜を掛けさせていただきました。

    能登半島の震災に思いを寄せて、千宗屋さまが芸術新潮の3月号に

    『千宗屋の飲みたい茶碗点てたい茶碗』に拙蔵のお茶碗を掲載してくださいました。

     

     

    このお茶碗は、宗屋さまが東日本大震災の義援茶会にて、

    阪神淡路大震災で被災した拙蔵のお茶碗をお使いくださったという、

    私にとっては忘れることのできない思い出のあるお茶碗です。

     

    このお茶碗を主茶碗に使わせていただいて、

    私も能登半島で被災された方々に思いを少しでも近づけたいと思い、

    織成月茶会にて一服差し上げました。

    床には、明治の京都画壇の面々のコラボによる描き表装のおひなさまを掛けさせていただきましたが、

    思いといたしましては、待合の一子地(いっしじ)という明如上人(大谷光瑞猊下や九条武子さまのお父さま)の横物がメインでした。

    お茶事の初座に一子地の横物を掛け、濃茶が終わって、

    これから和んだおひなさまの趣向のお薄席という設定です。

     

    藪内流でこの時期ならではの菱飾りの点前で。

    一子地とは涅槃経の言葉で、

    ”仏さまがあらゆる衆生をたった一人しかいないわが子のごとく思いをかけられた境地”のことです。

     

    こどもさんが育つことが困難だった時代に、親が子のいのちに思いをかけた上巳の節句。

    それはまさに一子地に通じる心だったのでしょう。

     

    宗屋さまがお茶碗の八重桜という銘を、伊勢大輔の和歌にかけて

    八重・九重と見どころがある茶碗とお書き下さいました。

    親の子に対する願い、仏さまが衆生にかける思いも、

    『これがダメならあれに、あれもダメならこちらに!』

    と、幾重にも下支えしてくださる一子地のはたらきであったなぁと

    お茶は美好園さんお詰で藪内流当代の允猶斎お好みの慈光。

    おひなさまのお菓子は金谷正廣さんに、

         

    お干菓子は今年100周年を迎えた神戸のフロインドリーブのものを

    そして今年卆寿を迎えた母を思いながらお客さまをお迎えいたしました。

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